尿酸値は、生活習慣病のバロメーター
生活習慣病は自覚症状が乏しいため、そのまま放置されやすいのが特徴です。しかし放っておくと動脈硬化を進行させ、脳卒中や心臓病といった命に関わる合併症につながりますので、早めに見つけて進行を抑えることが大切です。
生活習慣病の原因は、過食・運動不足による肥満,アルコールの飲み過ぎなど、高尿酸血症の原因と重なっていますので、尿酸値を見れば生活習慣病が進んでいるかが、ある程度分かります。「尿酸値が高い」と言われたら、痛風などの症状がなくても生活習慣を見直し、尿酸値を下げることが大切です。
高尿酸血症の予防
予防には、まず食事の量とともに全ての種類のアルコールの量を減らし、プリン体(ビール・鶏卵・魚卵・ホルモン・魚の内臓等に多く含まれる)の摂取が多い人はそれらを控える、水分と野菜を多くとる、軽い有酸素性運動を行う、などが有効です。
過度な運動や無酸素性運動を行うと、尿酸が産生されやすくなり、尿酸値が上昇しますので、尿酸がすでに高い人の場合は、ウォーキング程度の軽い有酸素性運動にとどめる必要があります。また、アルコール自体に尿酸を高くする働きがありますので、全ての種類のアルコール類を控えることが大切です。
薬物療法
尿酸値を下げる治療を始める前に痛風発作が起こってしまったら、痛みや腫れを取り除く痛風発作治療薬を使います。尿酸降下薬は痛風発作が治まった段階で始めます。
高尿酸血症でも尿酸値が8.0mg/dL未満で過去に痛風の経験がなければ薬は要りません。生活習慣を見直し様子を見ます。 尿酸値が8.0mg/dL台であれば、合併症の有無や患者さんの体質から判断して、薬物療法を勧めています。尿酸値が9.0mg/dL以上の場合は、痛風発作や合併症を起こす危険性が極めて高いので、すぐに薬物療法を始めることになります
一つ目が、尿酸排泄薬です。尿酸を排泄しやすくする薬ですが、尿が酸性に傾き、尿酸結石を誘引しやすいため、尿をアルカリ化する薬も併用する必要があります。
二つ目が、尿酸合成阻害薬です。尿酸そのものを合成しにくくする薬です。1日1回の内服薬もあります。
上記の内服薬は、1回でも痛風発作を起こした患者さんは適応になりますが、もしも痛風発作を起こしてしまった場合は、発作による炎症が落ち着くまでは飲めません。
それぞれの薬について、患者様の状況を確認しながら医師が適切な薬を選択して処方いたします。