高脂血症(脂質異常症)の原因と改善方法
LDLコレステロールの高値の原因として、食事中の飽和脂肪酸とトランス脂肪酸のとりすぎがあげられます。飽和脂肪酸は、肉の脂身(赤身ではなく白い部分。バラ肉、ひき肉、鶏肉の皮も含む)・バターやラード・生クリームなどに多く含まれます。パームヤシやカカオの油脂、インスタントラーメンなど加工食品にも含まれています。一方のトランス脂肪酸は、マーガリンやショートニング、業務用揚げ油のほか、油を高温で加熱する際に生成されます。飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を食べる量が非常に多い人は、その量を控えることで、比較的容易にLDLコレステロールを下げることができます。
中性脂肪(トリグリセライド)の高値の要因としては、エネルギー量のとりすぎ、特に甘いもの・お酒・油もの・糖質のとりすぎがあげられます。砂糖の入ったソフトドリンクを飲む習慣のある人も多い傾向があります。これらを改めて運動や減量を行うことで、中性脂肪を下げることができます。
HDLコレステロールの低値は中性脂肪(トリグリセライド)の高値と連動することが多く、その要因は、肥満や喫煙・運動不足です。運動や減量・禁煙によりHDLコレステロールの上昇が見込まれます。
遺伝的な要因によって起こる「家族性高コレステロール血症」と呼ばれているものもあります。このタイプは、遺伝性ではないタイプのものに比べてLDLコレステロール値が著しく高く、動脈硬化が進行しやすいことが知られています。親や祖父母、兄弟など血縁の親族に高脂血症(脂質異常症)や若くして心筋梗塞や脳梗塞、突然死を起こした方がいる場合、家族性高コレステロール血症の可能性があります。この場合、すぐに薬での治療が必要です。
高脂血症(脂質異常症)の治療
治療の基本は食事療法と運動療法です。薬物療法は、食事療法と運動療法を行っても脂質管理の目標値が達成できない場合、もしくは持っている危険因子が多く、動脈硬化や動脈硬化による疾患を起こすリスクが高い場合に開始されます。
肥満がある場合は、食事量を見直すことに加えて、一日30分以上の有酸素運動を週3回以上行い、肥満を解消するようにしましょう。
LDLコレステロールを減らし、HDLコレステロールを増やすには、主菜の材料として肉類よりも魚介類や大豆製品の割合を多めにするとよいでしょう。
特にLDLコレステロールが高い人は、内臓類や卵に注意が必要です。
脂肪は種類に関係なくエネルギーが高いので、肥満予防のためにも油を使った料理はひかえめにしましょう。
私たちの腸内で消化できない食物繊維は、野菜、果物、豆、きのこ、芋、海藻類などに多く含まれ、コレステロールを減らすのに役立ちます。
アルコール、お菓子・ジュース類を多くとりすぎると血液中の中性脂肪が増えます。夜寝る前は特に控えましょう。
こういった、生活習慣の改善を行っても、充分に高脂血症(脂質異常症)が改善しない場合にお薬での治療を開始します。お薬の治療は、高脂血症(脂質異常症)の状態を改善して、動脈硬化を防ぎ、脳梗塞、心筋梗塞、狭心症等の合併症を防ぐものです。お薬での治療で脂質異常の数値が改善したからといって、治療を止めると元に戻ってしまいます。そのため、継続的な治療が必要です。また、薬物療法を始めたからといって、食事療法や運動療法を含む生活習慣の改善をやめてはいけません。生活習慣の改善をきちんと続けることで、お薬の効果がより期待できます。