冠動脈疾患の症状
狭心症に伴う自覚症状は、以下のような症状が現れます。
主に運動中(家事や散歩・自転車中)に、左胸部や胸部中心部に、絞扼感(胸を締め付けられるような感じ)、圧迫感( 胸を押し付けられるような感じ)、不快感(胸が重い感じ)、違和感(胸がもやもやする感じ)等の症状が現れる事があります。冠攣縮性狭心症は安静時(就寝中等)に症状が現れることがあります。
心筋梗塞の発症に伴う自覚症状は、一般的に狭心症よりも強い症状が出ます。
狭心症の症状の他に、
窒息するような感じ、胸部苦悶、発汗、顔面蒼白、虚脱感、呼吸困難、失神等の症状が現れることがあります。
しかし、典型的でない症状で発症することも多く、胃の不快感や嘔吐等で、狭心症や心筋梗塞を発症していた方や、長く糖尿病を患っている方で症状の出ない事もありますので、ご心配な方は、医師に御相談下さい。
主な検査方法
心臓の電気的活動を記録する検査。心臓への酸素供給量の不足によって心筋が損傷を受けているかどうかが確認できます。
心臓超音波検査は、心臓の形態や動きをみるもので、心臓に病気があるかどうかが診断できます
ホルター心電図は、携帯式の小型の心電計をつけたまま帰宅してもらい、体を動かしている時や、寝ている時に心電図がどう変化するかをみる検査です。主に攣縮型狭心症が疑われ、夜に症状が出ている方で、症状と関連があるかを調べます。
運動負荷検査は、階段を上り下りしたり、ベルトの上を歩いたり、自転車をこいでもらったりするものです。運動によって不整脈や狭心症が出るかどうかをチェックします。(こちらの検査は、当院では出来ないため、必要な場合は、専門の医療機関に紹介いたします。)
血液検査では、心筋梗塞により心筋が壊れた際に出てくる蛋白(H-FABP)を15分で測定するものや、数日かかりますが、心筋トロポニンTを測定するものなどがあります。
この様な検査で、冠動脈疾患が疑われた場合は、専門の医療機関に紹介いたします。専門の医療機関で、心臓カテーテル検査を行うと、閉塞または狭窄した冠動脈が観察でき、確定診断がつけられます。
治療法の選択
冠動脈疾患の治療管理は生活習慣、つまり食事と運動による改善と同時に、薬剤の服用や手術による治療を組み合わせて行います。
手術には、経皮的冠動脈形成術(カテーテル手術)と、冠動脈バイパス術とがあります。
経皮的冠動脈形成術とは、カテーテルと呼ばれる細い管を腕や脚の血管から挿入して冠動脈まで導き、バルーンを拡張させて冠動脈の内側から狭窄部を押し広げたり、冠動脈ステントと呼ばれる小さな金属製の網状のチューブを留置する治療です。冠動脈の状態により、経皮的冠動脈形成術が危険な場合や困難な場合は、冠動脈バイパス術となります。
冠動脈バイパス術とは外科的な治療法であり、閉塞している冠動脈の先に別の血管をつなぎ、血液がその道(バイパス)を通るようにする外科的治療法です。バイパスからより多くの血流が確保されることで、心筋の血流不足による狭心症が改善され、さらには心筋梗塞を予防することができます。
経皮的冠動脈形成術(カテーテル手術)、冠動脈バイパス術を受けた方は、再発予防の為、長期間の薬剤の服用が必要です。症状が安定した方は、専門の医療機関と連携して当院で治療を継続することも可能です。